お客様体験記

「なぜ助けてあげられなかったのか」— 後悔と向き合う日々

ペットを失った後、誰しもが感じるのが「後悔」の感情です。

「もっと早く気づいてあげればよかった」「あのとき違う選択をしていれば」と、自分を責め続ける方が多いでしょう。

この「ペットロス」による深い悲しみは、単なる喪失感だけでなく、後悔の気持ちを強く抱えたまま続くことがあります。

この記事では、実際にペットロスと後悔に向き合った方の体験を通じて、どのようにその苦しみを乗り越えていったのかをご紹介します。

愛するペットを失う悲しみを抱えているあなたに、少しでも心の支えになることを願っています。

 突然の異変と後悔の始まり

私の愛犬ジュンは10歳の柴犬でした。シニア期に入ってからは、以前よりも寝ている時間が長くなったものの、ご飯も食べていたし、散歩にも行きたがる様子だったので、「歳をとったからかな」と軽く考えていました。

しかし、ある日、いつも喜んで食べるはずのご飯を残し、ぼんやりとした表情で横になっている姿を見て、違和感を覚えました。

「ちょっと元気がないな」と思いながらも、その日は忙しく、病院に連れて行くのを翌日に持ち越しました。

翌朝、さらに様子がおかしくなっていることに気づきました。

食欲が落ち、歩くのも億劫そうで、明らかに以前とは違う…。

すぐに動物病院に連れて行くと、獣医さんから「肝臓に大きな腫瘍があります」と告げられました。

「もっと早く連れてきていれば…」
その言葉が頭の中にこだましました。

できることはあったのか?自分を責め続ける日々

獣医さんから「年齢的にも、手術が成功する可能性は低く、術後の回復も難しいかもしれません」と言われました。

それでも私は「何かできることはないか」と必死に考えました。

結局、私は積極的な治療はせず、緩和ケアに専念する道を選びました。

季節が1つ通り過ぎる頃、ジュンは旅立ちました。

とても晴れた日でした。

呼吸が荒くなり、意識がなくなっても、最後まで生きようとするジュンに、「もう頑張らなくていいよ」と声をかけました。

しばらくすると、息を吐き切ったところで、静かに、眠るように、旅立っていきました。

ジュンが少しでも苦しまず、穏やかに過ごせるように——そう思っての決断でしたが、本当にそれでよかったのか、ずっと自問自答していました。

もし、もっと早く病院に連れて行っていれば?
もし、手術を決断していたら?
もしかしたら、もう少し長く生きられたのではないか?

そんな「もしも」が頭から離れず、ジュンを失った悲しみだけでなく、強い後悔が私を苦しめ続けました。

家の中のどこを見ても、そこにいるはずの姿がなく、気を張っていないと、自然と涙があふれました。

ジュンのベッド、散歩用のリード、ご飯を入れていた器——すべてがそのまま残っていて、それを見るたびに「あの時、もっと何かできたんじゃないか」という後悔がこみ上げてきました。

「ジュン、ごめんね」と謝り続ける日々でした。

後悔を受け入れ、前を向くために

そんな中、ある日、ジュンの写真を家族で見返してみました。

そこには、私と一緒に過ごした幸せそうな表情のジュンがいました。

娘が私に言いました。

「お父さん、この子は、最期のときまでお父さんのそばにいてくれた」

「最期の瞬間まで一緒に過ごせたことが、この子にとっても幸せだったんじゃないかな」

その言葉を聞いた瞬間、ほんの少しだけ、心が軽くなった気がしました。

また、同じようにペットロスを経験した人の体験談を読むことで、「私だけじゃないんだ」と感じることができました。

SNSやペットロスのコミュニティに参加し、他の人の話を聞くことで、自分の気持ちを整理することができるようになりました。

後悔の気持ちは完全には消えないかもしれません。

けれど、「あの子のためにできることを精一杯した」と思えるようになったとき、私は少しずつ前に進めるようになりました。

ペットを失ったとき、後悔の気持ちを抱くのは、それだけその子のことを愛していた証拠。

私たちは完璧ではなくても、ペットにとっては「かけがえのない飼い主」だったのです。

「なぜ助けてあげられなかったのか」——この問いに対する答えは見つからないかもしれません。
それでも、ペットと過ごした時間がかけがえのないものであったことは、決して消えない真実です。

もし、同じように後悔で苦しんでいる人がいるならば——
どうか、自分を責めすぎないでください。
あなたのペットは、きっとあなたのことを愛し、感謝していたはずです。

あなたが後悔よりも「ありがとう」という気持ちでいっぱいになる日が来ることを、心から願っています。

→ペットとの別れを大切に〜最適な供養方法の選び方〜

 

【関連動画】YouTube—ペットロス

 

この記事を書いた人

⚫︎中村はな⚫︎
メモリアルアドバイザー兼ライター

大切な方との思い出を形に残すお手伝いを専門とし、これまで1,000件以上のメモリアルグッズのコーディネートを手がけてきました。

ご遺族の心に寄り添った記事執筆を心がけ、メモリアルに関する執筆実績は500件以上。

グリーフケアを専門としているため、お客様の心情に配慮しながら丁寧な説明と提案が可能です。

大切な方との思い出を末永く心に刻むお手伝いをさせていただきます。